キングギドラの日常

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佐世保事件の病院の対応がおかしい!~実際はこんな対処方法で同級生の命は守れた!~

長崎県佐世保市で高校1年の同級生を殺害したとして殺人容疑で逮捕された少女(16)が
事件の数日前、父親と再婚した母親に「人を殺したい」という趣旨の話をしていたことが4日、親族の関係者への取材で分かった。関係者によると、事件の3日前の7月23日、少女は母親と2人で話した際、「人を殺してみたい」と打ち明けたという。
事件前日には両親が、少女が通院していた精神科に行き、「(少女を)今ここですぐに入院させてほしい」と頼んだが、実現しなかったことも判明。関係者によると、施設の事情で即日の入院ができなかったとしている。
MSN産経ニュースより抜粋
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疑問

  1. 精神科への受診で満床(ベッドの空きがない)場合は他の病院へ紹介することもできるのになぜ病院側はそのように対応しなかったのか?
  2. 医師はなぜ措置通報しなかったのか?

以上2点がすごく疑問である。
①については満床は精神科の病院ではよくある話であるが、断る理由を述べた後に、入院の必要性があると判断したならば、ほかの病院を紹介することだって容易である。なのになぜそう対応しなかったのか?まだ在宅で療養できる余裕があると判断していた以外に理由が見つからない。

②についてだが、精神科には人権を守るためにある法律と、人権を守りながら認められていることがある。それが強制力を持つ入院である。以下に精神科における入院形態(入院する形)を簡単にまとめてみる。

- 任意入院
任意入院とは一般の内科や外科のように、医師と本人の同意があって入院する形。これは書面でも同意書というものが有り、それに準じて入院させる。また任意で入院するので、患者本人が退院したいと申請すれば退院することも可能(退院申請があっても72時間は精神保健指定医の判断で退院を延期させることができる)

- 医療保護入院
医療保護入院という入院形態は精神科独特の入院形式。保護者と医師が入院が必要と判断した場合、本人の医師は関係なく入院させることができる入院形態。簡単に言うと本人が入院を拒否しても、精神保健指定医と保護者の判断で強制的に入院させることができる形。これは入院後に本人が退院を希望しても入院を継続させることができる。

- 措置入院
措置入院とは、患者本人に対して行政が命令して入院させるものです。これは精神疾患のために「自傷他害の恐れ」、つまり自分自身を傷つけたり、他人を傷つけたり、何らかの迷惑・犯罪行為をする可能性が高い場合に、行政が患者に命令して、行政措置として入院を強制するものです。病院と入院契約を交わすのは、患者本人でも家族でもなく、行政です。しかもこれは強制的な命令であって、患者本人の意志も、家族の意志も、関係ありません。精神保健指定医2名の判断で強制的に措置入院とできるのです。
このような極めて強制力の強い入院であるために、その条件はかなり厳しく、実際上は何らかの犯罪行為、違法行為を犯して警察ざたになった場合が多くなります。
行政が患者を病院に連れてくるという行動に出る前に、「通報」が必要なのですが、それは以下の3つの場合があります:
●一般市民による通報(23条通報)
●警察官による通報(24条通報)
●検察による通報(25条通報)
いずれの場合でも、関わった人が「どうも精神疾患がありそうだし、危ない、このままだと自傷行為や他害行為をしそうだ!」と判断したときに、通報するということになります。


なぜ措置入院で通報しなかったか?

報道によると、診察していた医師は「殺人を起こしかねない」という「判断をし、児童相談所に相談に行っているそうです。医師が自傷他害を疑っていたのなら通報し、措置入院が必要かどうかの「措置鑑定」をすればよかったのです。その鑑定で措置が必要と判断されれば強制的に入院をさせることができ、なくなった同級生の命を守ることができました。
最近では、119の救急車要請のように、精神科バージョンの救急システムが各自治体で作られています。輪番病院というものもあり、毎日どこかの精神科ではベッドを開けて待っている当番病院があるのです。
精神科で勤務している医師ならば、必ず知っている情報です。なのになぜ通報しなかったのか?疑問でしかありません。

報道による偏見

報道では家庭環境を問題視する報道が多く取り上げられています。そこにも当然問題があります。被害に遭われた家族の心情を察すると言葉になりません。
ただ、明らかに精神疾患を患っている患者を医療現場で治療に乗せてあげれなかったことは医療のシステム的な問題です。そのための法律で、加害者の家庭ばかり取り上げること自体に偏りがありすぎると思います。

最後に

亡くなられた同級生の家族と関わられている方に追悼の意を表します。

画像
https://www.e-rapport.jp/law/welfare/no02/03.htmlより

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